ピルの副作用・体重増加(太る)の原因と対処法

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ざっくりまとめると
ピルを飲むことで体重に影響をおよぼす原因は、水分が増える、脂肪がつく、食欲に負けるの3つ。
体が慣れるにしたがって、徐々に収まっていきます。3ヶ月以上経っても改善されない場合は、お医者さんに相談してみましょう。
違うピルを試す方法も。第4世代のヤーズは、体重の増加やむくみが少ないことが期待できます。

ピルを飲むと太る。ピルについて詳しく知らない人でも聞いたことがあると言ってもいいくらい有名な副作用です。もちろんピルを飲んだすべての女性が太るわけではなく、服用しているピルの種類や体質との相性が大きく影響します。

ではピルを飲むことによって体重は増えてしまう原因はどこにあるのでしょうか?今回はピルの副作用のなかでも注目度が高い、体重の増加について詳しく紹介します。

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ピルを飲むとどうして太るの?

ピルを飲むことで体重に影響をおよぼす原因は3つあります。水分が増える、脂肪がつく、食欲に負けることです。原因を詳しく解説します。

【原因1】水分が増えることで体重が増加する

ピルを飲んでいる間、体はむくみやすくなります。

ピルの中に含まれるエストロゲンには、腎臓から体内の塩分が排泄されるのを抑える働きがあります。このため体内に塩分がたまり、たまった塩分が水分を吸収するため、結果として体内に水分がたまるという仕組みです。

体内にたまった水分の重さの分だけ、体重も重くなります。

ピルを止めるとむくみは消える

むくみは、ピルを飲んでいなくても生理前に起こりやすい症状のひとつです。「生理前は痩せにくい」と言われるのも、このむくみが原因です。

水分量が増えたことによる体重の増加なので、ピルを止めればすぐに戻ります。ピルを継続して飲んでいる人によくある話ですが、休薬期間に必ず体重が減る、というのもこの影響です。

ピルのエストロゲンに加えて、食事でも塩分を取れば取るほど体内に水分を貯めこんでしまいます。塩分の多い食事はなるべく控えるように心がけましょう。

【原因2】脂肪がつくことで体重が増加する

エストロゲンのもうひとつの作用に、脂肪を増やすという厄介な働きがあります。

エストロゲンは、別名「美人ホルモン」と呼ばれている女性ホルモンで、女性の乳房や太股、腰回りなどに皮下脂肪を増やし、外見的にも女性らしいボディラインを作り上げる働きがあります。

ピルのうれしい副作用のひとつに、ピルを飲むと胸が大きくなる、というものがありますが、これもエストロゲンの作用によるもの。脂肪が胸についた結果なのです。

【原因3】食欲に負けることで体重が増加する

ピルに含まれるプロゲストーゲンの影響で、食欲が増えることがあります。原因はプロゲストーゲンの持つ男性ホルモン(アンドロゲン)作用です。

食欲が増えること以外にも、ニキビが出やすくなることもあります。ピルを飲み始めた最初の3か月間によくある症状で、摂取カロリーコントロールをすることで回避可能です。

ピルの成分の働きで、どうしても太ってしまうことがあるんですね……・

どんな種類のピルでも太ってしまうの?

基本的にはピルの種類を問わず、飲み始めは副作用として太るといった症状が見られることがあります。しかし、この症状も、ピルの服用に体が慣れるにしたがって徐々に収まっていきます。

もし3か月以上経っても、体重の増加やむくみの症状が改善されない場合は、ピルの種類を変えるのがよいでしょう。その場合は、かかりつけのお医者さんに相談してみましょう。

ピルのアンドロゲン作用は、錠剤に含まれるプロゲストーゲンの種類によって異なります。アンドロゲン作用の弱い順番が以下のとおりです。

男性ホルモン作用の弱いピル
  1. ドロスピレノン(第4世代・ヤーズなど)
  2. デソゲストレル(第3世代・マーベロンなど)
  3. ノルエチステロン(第1世代・シンフェーズなど)
  4. レボノルゲストレル(第2世代・トリキュラーなど)

ドロスピレノン配合のヤーズはエストロゲンの含有量が少ないため、体重の増加やむくみ、乳房の張りなどが少ないことが期待できます。

ピル服用期間中、体重が増減するタイミングは?

先ほどもお話しした通り、ピルを飲むと体内に水分がたまり、むくみやすくなります。これはピルに含まれるエストロゲンによる作用であるため、基本的にはピルを服用している期間は、体重が増加しやすい傾向にあります。

ピルは、実際に合成ホルモンが配合されている実薬を飲む実薬期間と、実薬を飲むのをお休みする7日間の休薬期間を繰り返しながら服用していきます。

当然ですが、ピルによる体重増加はピル服用期間中にあらわれるものなので、ピルの服用を一旦中断する休薬期間に入ると、自然と体重が減っていくことがあります。休薬期間中は、いわゆる「痩せ期」のようなものです。

繰り返しにはなりますがピルを飲んでいるからといってすべての人が必ず太るというわけではありません。食欲をうまくコントロールしたり、適度に運動を行ったりすることで十分に体重は管理できます。

ピルをやめると太る?

「ピルを飲み始めてから太った」という女性とは逆に、「ピルを飲むのをやめてから太ってしまった」という女性もいます。

なぜピルをやめてから太ってしまったのかというと、これにもピルの副作用が関係しています。ピルが持つ副作用のうちのひとつとして、吐き気が挙げられます。この症状を感じると、自然に食欲が減退し、一時的に体重が落ちることになります。そんな状態の時にピルの服用を中止すると、ピルに含まれるプロゲストーゲンの影響を一切受けなくなるため、また以前のような食欲が戻り、体重が自然に増加するのです。

もちろん、副作用としての吐き気を感じるかどうかにも個人差があるため、一概に「ピルをやめると太る」とは言えません。体質によるところが大きいため、参考程度にとどめてください。

ピルを飲んで太ってしまったら?

「ピルを飲んで太ってしまうと痩せづらくなる」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。実際、「もとは瘦せ型だったけど、ピルを飲んでから体重が増え、しかも落ちなくなった」という人も多いです。

ピルを飲んで体重が増えてしまったら、まずは服用しているピルの種類を変えてみましょう。ピルも薬であるため、人によってそれぞれ相性があります。体重にさほど変化が見られなかったり、吐き気や胸の張りといった身体的な副作用があらわれなかったりすることなどを目安に、自分に合ったピルを見つけましょう。

また、ピルで体重増加してしまったあとでも、食事制限や運動を行うことで体重を減らせた女性も多くいます。ピルを服用しているからといって、体重が増えることをピルだけの影響であると考えたりせず、健康的な生活を心がけることが大切です。

ピルによる体重増加は予防できる?

ピルを飲むことで体重が増えてしまう理由は、ピルが持つホルモンによって、食欲が増進してしまうことにあります。つまり、この食欲を自分でいかにコントロールするかが重要なポイントです。ただでさえピル服用中は体がむくみ、太りやすくなっているため、暴飲暴食をしないよう自己管理することがとても大切です。

しかし、この点さえ気を付けていれば、ピルを飲んでいるからといって極端に体重が増えることはありません。また、むくみも自分でマッサージを行うことで解消されます。

このように、ピルによる体重増加のメカニズムを正しく理解し、きちんと対処を行うことで、体重増加の予防を行うことは可能です。

ピル服用中の体重増加をどうやって解決した?

体重は最大で6キロまで増えました。そこから食事に気をつけることで、地道に体重を減らしていきました。最初は、ピルを飲んでいたら痩せないかも?と思いましたが、普通にダイエットできましたよ。

ピルを飲み始めて体重が減った代わりに顔が丸くなりました…当時はなぜ顔だけ痩せないのか不思議に思いましたが、今思い出すと顔がむくんでいたのかもしれません。

食欲の増加が一番困りましたが、それまでにやってた生理後のドカ食い対策といっしょで、気合いでコントロールしました。

体重増加の予防と対策をしてピルを上手に活用しよう

食欲が増すことや水分量が増加すること(むくみ)による体重の増加は、ピルを飲み始めてから起こりやすい症状の代表例であり、治療の必要は全くありません。

2カ月から3カ月ほどで解消されることがほとんどですが、体のむくみが気になったり続いたりする場合は、ピルの種類を変えてみるのも解決策として有効でしょう。